行方不明の夫との離婚 Q&A

Q:夫がギャンブルで借金を抱えて2年前から行方不明です。離婚したいのですが
  どうしたらよいでしょうか?
A.通常、夫婦が離婚する場合、協議離婚が原則で、話し合いが整わないときは
  調停、それも不調になったときは裁判を起こすことになります。しかし、夫が
  行方不明の場合には話し合うことができないわけですから、裁判で離婚を
  求めることになります。あなたは夫から「悪意で遺棄」されたわけですから、
  離婚は認められるでしょう。
  ところで、よく「七年間行方不明だったら、自然に籍が抜けるのではないですか」
  と質問されることがありますが、これは全くの誤りです。
  尚、民法は、7年間生死がわからない人について「死亡」したものとみなす制度
  (失踪宣言)について定めていますが、これも利害関係人が家庭裁判所に請求
  することが必要です。

慰謝料額の決定と相場

慰謝料とは 「精神的苦痛に対する損害賠償」です。ですので、自分の心が癒やさ
れる金額を、自分で決めてよいのです。
具体的な慰謝料の額はケースバイケースであり、一律こうだ、という基準のようなも
のはありません。
≪不倫・浮気・離婚などの場合≫
一般的なデータとしては、不倫・浮気相手に対する額は50万?300万程度におさま
る、といったところのようです。不倫・浮気相手のせいで妻が夫と離婚するはめにな
った場合にはさらに高額になる傾向にあります。離婚するとなると、相手に負わされ
たダメージが大きいと評価されますし、離婚による心のダメージというものも、当然
あるだろうとも評価されるからです。
一方、夫に対する慰謝料の額としては離婚の有無や結婚していた年数や離婚に伴
う財産分与の内容など様々な要素がからむため、下は数万円から上は1000万以
上と大きな幅があります。しかも、この金額は離婚に伴う財産分与と慰謝料をあわ
せた額なので、慰謝料の額としてはその一部という事になります。やはり夫に対す
る慰謝料についてはケースバイケースと言う他ないようです。

財産分与の相場

財産分与の相場
離婚の約9割を占める協議離婚では、プライベートに決まる為、慰謝料や財産分与がどのように決め
られ、いくらなのか具体的には明かされていないが、慰謝料と財産分与をまとめて請求することが多
く、家庭裁判所で取り扱われる離婚案件の統計「司法統計年報」でも合計額しか出ていない。
■ 財産分与の相場 (司法統計年報)
慰謝料額 割合(%)
100万円以内   25.4%
200万円以内   15.8%
400万円以内  18.1%
600万円以内  8.8%
1000万円以内   9.1%
2000万円以内 6.1%
2000万円以上 3.1%
総額が決まらない 13.6%
慰謝料と財産分与は別のもの
財産分与は慰謝料とは別のものですから、慰謝料を支払う側であっても、財産分与を請求できます。
財産分与と慰謝料を場合によってはトータルで請求することもでき、トラブルが生じることもありますの
で、必ず慰謝料と財産分与の取り決めを明確にして、公正証書や調停証書に明記しておきましょう。
支払い方法
慰謝料と財産分与の支払方法は「一括」と「分割」の2種類あるが、「一括」での支払方法をお勧めし
ます。
なぜ一括支払いがよいか?
慰謝料や財産分与を「分割支払い」で約束しても、離婚後に約束が破られ、支払いがなくなる事例が
多いからです。また、離婚をした後は相手との一切を断ち切りたいと考える人も多く、「一括支払い」で
あれば、離婚後の接点がなくなるメリットもあります。
不動産
不動産は金銭やその他の動産に比べ、ローンや税金の問題、全部を譲渡しては金額的バランスが
取れない、土地の分割も現実的ではない等、色々と面倒なことがあります。不動産の場合は、名義を
夫婦のどちらか一方にして、その評価額を見積り、不動産を取ったものがその差額を支払う方法がよ
くとられています。

慰謝料の相場

慰謝料の相場
最近の司法統計調査によると離婚の際には 0?400万円 の間でお金が支払われているケースが多
く、中でも 200?400万円 が多いようです。もっとも、慰謝料の額は、その夫婦の離婚原因や支払う
側の状況、支払能力などによって異なりますので、あくまでの目安として知っておくと良いでしょう。
■ 慰謝料の分布
慰謝料額 割合(%)
なし       34%
100万円以内 11%
200万円以内 19%
300万円以内 20%
500万円以内 14%
500万円以上 2%
実際の離婚には、さまざまな問題が関わってくる為、裁判所が決定する金額は、ケース・バイ・ケース
でなされます。平均額などのデータはあくまでも全体のもの。あまりこだわらず、実情に即した額を請
求することが一番です。
慰謝料算定の要因
家庭裁判所や地方裁判所が不貞や暴力などの原因、その行為が故意か過失か、そのとき受けた傷
の様子や度あい、責任の割合、婚姻期間、慰謝料請求側の年齢や性別、子供の有無、夫婦の資産
や収入、生活能力、健康状態など、様々な要因を考慮して算定いたします。
慰謝料、財産分与の時効
慰謝料は離婚が成立した日から 3年以内、財産分与は 2年以内 に請求しなければ無効です。離婚
成立の日は、協議離婚なら離婚届が受理された日、調停離婚では調停が成立した日、審判離婚は
審判が確定した日、裁判離婚では判決が確定した日になります。